風化させてはならない過去【世界ノンフィクション全集28巻】

風化させてはならない過去【世界ノンフィクション全集28巻】

皆様、こんばんは。

コロナ、豪雨、またコロナと波乱の2020年夏を迎えておりますが、
皆様、お変わりないでしょうか。
大変久々ではありますが、今回はシマジ推薦図書をご紹介させていただきます!

著者

世界ノンフィクション全集(全50巻)。
以前にもご紹介しましたが、世界各地のノンフィクションを集めた作品となっております。今回はその中の28巻より「戦没学生の手記~谷間の百合たち~ 山下肇 編」

内容

第二次世界大戦中の出兵学生、勤労動員女学生の手記、家族へ宛てた手紙から「軍隊と戦争について」「生と死について」「はてしなき労働」とで構成(+遺族の話、戦後の経験を元にした小説)されており戦時下日本の若者と社会の実態を明らかにした内容となっております。

所感

本編を通して当時のリアルな人々の声を知ると、戦後になって作られた戦時中の日本人の記録というものは、どこか美談めいたものがあるように思えてなりません。全てがそうかというと、そうではないのですが、「愛国」を強制されていた時代に本音が出せない苦しみ、当時の軍国主義の実態、生に対する執着、家族への愛情をうかがい知ることができます。それに対し自分がいかに恵まれている時代に生まれたか、怠惰に生きているかと後ろめたさを感じざるを得ません。
また、解説は開高健文豪が行っており、感情を文章で遺憾なく表現しており、本物の物書きとはこういうものなのだなと素人ながらに得心しました。
なかなか手に入りづらいとは思いますが、是非とも読むことをオススメします!

それでは、今日はこの辺で!